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研究スタイルの分類

文書作成:2006.12.05

一口に研究といっても,その切り口・進め方は様々です.全ての研究分野に共通するわけではなさそうですが,自分なりにその分類を試みてみます.

自分の研究がどれに分類されるのかを把握しておくと,論文作成時に困る場面が減る気がします.自分のためのメモです.

A. 研究のアプローチで分類

A-1) 仮説検証型
  • これまでに得られた知見・経験を基に仮説を立て,それを検証するための計画を構築し,測定する.料理に例えると「献立を決めてから材料をそろえる」.たいていは,献立どおりの料理が出来上がる.
  • 計画が立った時点で研究の半分以上が終了しているといってよい.計画にのっとって測定しさえすればほとんどの場合で論文が書ける.想定どおりの結果が出てくれば仮説を裏付けられるし,想定外の結果が出てきた場合には仮説を考え直せばよいだけだ.とにかく論文が書きやすい.計画が入念であればあるほど書きやすさは増す.
  • 一番楽しいのは,計画を立てているとき.
  • この研究スタイルの否定的意見の例.「想定どおりの結果が出てくるなんてつまらない」「小さくまとまった研究だ」

A-2) 測定先行型
  • 仮説を立てずにまずデータ測定.得られたデータの解析から現象の実態やメカニズムについて解釈・類推していく.料理に例えると「材料をそろえてから献立を決める」.時折とんでもない料理が出来上がる(いい意味でも悪い意味でも).
  • 仮説を立てるだけの知見・経験が不足している場合はこのスタイルをとらざるを得ない.野外観測系の研究で良く見られるスタイル.
  • とにかく論文を書くのに苦労する.計画ありきではないので,後付けで研究の背景や目的を でっちあげる 作り上げる必要がある.あたかも「測定前からこんなことを想定してました」という顔をしながら論文を執筆する.読む人が読めば「後付けっぽいな」と感づかれてしまうらしい.
  • 一番楽しいのは,データが出揃ってきたとき.あれやこれやと試行錯誤を繰り返しながら観点の異なるグラフを作っていく.独立していると思っていたそれぞれのデータが一本の線で繋がる瞬間は相当にしびれる.研究していて良かったと思える瞬間の一つ.
  • あとから「あのデータも取っておけばよかった」「データ個数が足りないかも」と反省が出てくることが多い.(金銭的・時間的な制約により)再実験・再観測するわけにもいかず「データが少ないが○○だから大丈夫」とか「昔の論文と同様の手法をとった」とかで,責任回避をする.研究方法の章でデータ取得の言い訳が多くなる.
  • 測定先行型研究への否定的意見の例.「データはそれで足りてるの?」「それで本当に言い切れるの?」「再測定の必要性があるのでは?」
  • 私の出身研究室はこのスタイルが主流.
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