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研究内容

最終更新:2020.09.25

研究の興味・キーワード

研究の興味
hinoki

「森林」と「気象環境・立地環境」との相互関係について研究しています。具体的には、森林に到達した降雨の樹冠による再分配、風・津波・雪崩などの流体による樹木の変形・破壊メカニズム、樹木による流体力の軽減効果、森林土壌の生成過程、山地斜面の土壌侵食を研究しています。

森林が存在することで起こる変化の定性的・定量的な解明を目指しています。また森林科学や林業の発展につながるような成果を生む研究を目指しています。

研究分野
  • 森林水文学(雨滴、林内雨、樹冠遮断)
  • 樹木力学、植物バイオメカニクス(樹木の揺れや破壊、風害、樹形)
  • 山地保全学、地形学(土壌侵食、海岸飛砂)
キーワード
  • 樹冠通過雨、雨滴粒径分布、侵食能、降雨の運動エネルギー
  • 樹木動揺、幹折れ、根返り、森林風害、物理シミュレーション
  • 雨滴侵食、土壌侵食、土壌炭素
  • ヒノキ
  • レーザー雨滴計

研究内容の広報

テレビ報道
  • [2006.09.04] NHKデジタル放送:いばらきワイワイスタジオ
    水滴から洪水のメカニズムを探れ
  • [2006.09.01] NHK総合テレビ:おはよう日本首都圏
    水滴から洪水のメカニズムを探れ
新聞記事
  • [2021.09.27] 中日新聞 link
    瑞浪の大杉が倒れた原因はバランス 名大など発表
  • [2020.09.18] 東濃新報
    倒れた原因など探る 瑞浪大湫の大杉 レーザー機器で調査
  • [2020.09.16] 朝日新聞 link
    樹齢1300年、倒れた大杉に研究者が熱視線
  • [2020.09.16] 中日新聞 link
    大杉倒木の原因、レーザー解析 名大准教授ら、瑞浪・大湫神明神社で調査
  • [2020.09.12] The Maui News link
    Researchers quantify impacts of miconia plant
  • [2020.07.02] 朝日新聞 link
    森林に降る雨 葉や枝に集まり、姿変え
ウェブサイト
  • [2021.09.27] 東濃ニュース 土岐市・瑞浪市版 link
    大湫神明神社の大杉の倒木原因は【減災には根系の評価も】
  • [2020.09.15] 東濃ニュース 土岐市・瑞浪市版 link
    3Dで倒れた大杉の復元を【大湫町で研究チームが計測】
  • [2017.07.19] Advanced Science News link
    WIREs — Wiley Interdisciplinary Reviews: Cover Articles featuring Physical, Life, and Social Sciences
  • [2017.07.18] 森林総合研究所:研究成果 link
    樹幹流が集中する樹幹直下で土壌中の放射性セシウム濃度と蓄積は高くなる
  • [2019.04.26] 森林総合研究所:研究成果 link
    雨滴のサイズから明らかとなった森林の中で降る雨の違い
  • [2017.07.19] Advanced Science News link
    WIREs — Wiley Interdisciplinary Reviews: Cover Articles featuring Physical, Life, and Social Sciences
  • [2017.07.18] 森林総合研究所:研究成果 link
    樹幹流が集中する樹幹直下で土壌中の放射性セシウム濃度と蓄積は高くなる
  • [2017.07.07] Advanced Science News link
    Throughfall Drop Size Disrtibutions: A Review and Prospectus for Future Research
  • [2017.06.29] 森林総合研究所:研究成果 link
    森林における水・物質循環を駆動する林内雨滴についての解説
  • [2017.06.14] 森林総合研究所:研究成果 link
    日本の森林の土壌炭素蓄積量分布を決める環境要因を解明
  • [2017.04.28] 森林総合研究所:研究成果 link
    地球上の土壌炭素分布の予測精度を向上させるデータマイニング技法
  • [2016.08.17] 森林総合研究所:研究最前線 link
    森の中に降る雨の風景をコンピュータグラフィックスで再現する
  • [2015.07.10] 森林総合研究所:研究最前線 link
    森を抜ける雨滴の大きさは季節とともに変化する
  • [2015.06.24] 森林総合研究所:研究最前線 link
    海岸林が津波を抑える効果と津波に耐える力を数値化
  • [2015.06.15] 森林総合研究所:研究最前線 link
    外来植物の侵略が熱帯雨林の土壌を荒廃させる仕組みを解明
  • [2015.04.29] University of Delaware link
    UD researchers, Japanese colleague work to correlate raindrop size to forest ecology
  • [2013.10.17] 森林総合研究所:研究最前線 link
    地球温暖化に関わる土壌炭素量の推定が簡便に
  • [2013.11.14] 森林総合研究所:研究最前線 link
    森林内の放射性セシウムの広域予測
  • [2012.07.20] 森林総合研究所:研究最前線 link
    福島第一原子力発電所周辺の空間線量率の高い地域における森林の物質量の推定
  • [2012.05.10] Maui Invasive Species Committee (MISC) link
    The Big Drip: Possible Water and Soil Impacts of the Miconia Invasion in Hawai‘i

測定技術の開発

レーザー雨滴計の開発

小型レーザーセンサを用いた、自動連続的に雨滴の粒径・速度を計測できるシステムを開発した。このシステム開発により雨滴計測の同時連続観測が容易になり林内外の比較、林内雨同士の比較が可能となった。 → 詳細

林内雨滴・林内侵食に関する研究

林内雨滴の形成プロセスの解明

森林に降った雨は樹冠内で雨水が集合・結合するため、林内雨では林外雨で発生が稀な直径3mm以上の雨滴がよく発生する。林内外の同時連続雨滴観測の比較から林内雨滴の特徴を明らかにし、その形成メカニズムを解明することを目指す。

これまでに、林内雨滴が樹種や気象条件によって異なり強風による樹冠の揺れが林内雨滴を小粒径化させること、樹冠層が厚くなるほど林内雨滴が小粒径化することなどを明らかにした。

林内雨に特異な巨大雨滴の衝突が林内侵食に与える影響の評価

林内雨は林外雨と異なる雨滴粒径分布や雨滴速度を持つため農地で通常考えられている土壌侵食プロセスとは異なるプロセスを有する。特に林床裸地面への巨大雨滴の衝突が土壌の浸透能低下・表面流発生・雨滴侵食量に与える影響を定量化した。また、リターや林床植生による雨滴衝撃の保護効果についても評価している。

これまでに、農地から得られた既存の侵食モデルでは林床裸地面での表面流量や雨滴侵食量を過小評価すること、傾斜や林齢といった立地条件により侵食の進み方が変化することなどを明らかにした。

森林施業と森林水文プロセスの関係についての研究

林床被覆と浸透能との関係の指標づくり・定量化

リターや林床植生により地表面が被覆されていれば雨滴衝撃が防止され雨水は森林土壌へ浸透していく。その林床被覆の効果は古くから研究されていたが、大粒径化する雨滴を有する林内雨の特徴をとらえた研究がなされていなかった。林内雨の雨滴衝撃を再現する振動ノズル式散水装置の開発を通して、林床被覆と浸透能の関係について評価している。

森林施業(強度の間伐)が樹冠における水文プロセスに与える影響の定量化

近年人工林の管理が不足しており、本来有する公益的機能が十分に発揮されない森林が日本国内で拡大している。森林施業の重要性を水文学的見地から定量的に示すべく、強度間伐が森林水文プロセスに与える影響を評価している。

土壌炭素に関する研究

日本全国の枯死木、リター、土壌中の炭素量を把握する

地球温暖化問題が重要となるに伴い、炭素の巨大な貯蔵庫である森林の重要性が増している。国連の気候変動枠組条約や京都議定書に対応した温室効果ガスの吸排出量の報告では、森林の炭素蓄積量変化を算定する必要がある。土壌中には植生の3-4倍の炭素が蓄積されており、それらを形作る枯死木・リター・土壌中の炭素蓄積量の実態を明らかにする必要がある。

降水に関する研究

降水様式による雨滴粒径分布の差異を明らかにする

降水は主に雨と雪とに分かれるが、通常の降水観測では雨雪が移り変わる瞬間を把握することは難しい。雪は雨よりも落下速度が遅くなるため、レーザー雨滴計で降水を観測し続けることによりその切り替わるタイミングが把握可能である。

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