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学会発表の反省・コツ

最終更新:2007.11.11、文書作成:2006.07.19

自らの経験で得た,学会発表における反省と次に生かしたいコツです.主観的であるため,あくまでも自分のためのメモです.絶対的なコツではないのでご注意を.

口頭・ポスター共通

心がけたい努力(初級)
  • 聴衆に優しい発表を目指す.自分の研究内容を初めて聞く人にもわかってもらえるための努力を惜しまない.自分が聴衆の立場に立った時に,今の発表で理解できるかどうかを意識する.
  • 色分けをうまく使う.例えば,「A」と「B」を比較する発表であれば,「A」は必ず赤で,「B」は必ず青で表現することを決めてしまう.そうすれば,視覚的に分かりやすくなる.

心がけたい努力(上級)
  • 自分の根源的な興味・好奇心が別のところにあったとしても,発表の流れ・結論を学会のカラーに意識的に合わせることは必要.
  • 「○○を知りたい→□□がわかった」で終わる発表は,狭い範囲の聴衆の興味しか惹けない.「××という課題がある→○○を知りたい→□□がわかった→××を明らかにする上で,ここまでが達成された」という風に,最初と最後をきちんと作って,研究の位置づけをはっきりさせる努力が必要.

口頭発表

守るべきルール
  • グラフを出すときは,きちんと言葉で軸の説明をする.自分には見慣れたグラフでも,初めて見る人には何を説明したいグラフなのかがわからない.自分自身ではくどさを感じるだろうが,それくらいでちょうど良い.
  • スライド1枚で,言いたいこと1つまで.文字数を増やしたりグラフを多く載せたりすると聴衆がどこを見てよいのかわからなくなり飽きる.1枚で多くを語るくらいなら,スライド枚数を増やした方が良い.スライドが増えてもしゃべるのに費やす時間は一緒.
  • そのスライドで伝えたいことを明記する.スライドごとの結論を書いておけば,うっかり聞き逃した人も発表に着いてこれる.
  • 自分が話していることを皆が聞いていると思わないこと.「私が一生懸命に作ったスライドだから皆聞いているはずだ」ということは基本的にありえない.だからこそ大切なことは「口からの言葉」だけで流すのではなく,「文字としての言葉」として視覚にも訴えること.

分かりやすい口頭発表のために
  • 1枚のスライドを1分弱と考えると,発表に余裕ができる.1分を超えるようなら1スライド中の情報過多.
  • フォントサイズは,24pt以上がよさそう.
  • 「本日の発表で伝えたいこと」を頭に持ってくる.
  • グラフの背景は,真っ白よりも少し色をつけた方が良い.赤のレーザーポインタを用いる場合,背景色が白だと,どこを指しているのかわかりにくい.

口頭発表で心に留めたいこと
  • 口頭発表はPRの場としてとらえる.質疑応答の時間が限られるので,結果について深い議論は望みにくい.自分の研究内容や顔を売る場と考える.
  • ポスターに比べると発表後の議論がしにくい.質疑応答の時間が限られるので,発表に対する反応がわかりにくい.
  • しかし,結果や結論にインパクトがあれば短時間で多人数に大きな反響を与えられる.
  • わりと小さめの部屋で発表できると質問が出やすい.大きな部屋で人数が少ないと前列で聞いてくれる人がいないので質問も出にくい.

ポスター発表

ポスターを見に行く動機
  • 積極的にポスターを見に来てくれる方というのはそんなに多くないと心に留めておくべき.
  • ポスター発表を見に行く動機は以下の感じであろうか
    • 1) 要旨集を見て「これを見に行こう」と事前に決めている(とても積極的)
    • 2) 以前の学会などで既に知り合いで,何が進んだのか見てみたい(すこし積極的)
    • 3) 何か面白そうな発表は無いかとウロウロして,たまたま目に付いた(受動的)
    • 4) 観客がいなくて寂しそうにしている発表者に心を打たれる(哀れみ型)
  • 自分のポスターをより多くの人に見せたいと思うのであれば,上記3 の顧客を引き込むべきである.
  • そのためには,見やすいポスター・目に留まるポスターを作る必要がある.

見やすいポスターを作るには
  • タイトルのフォントサイズは大きいほうが良い.小さいと目に付きにくい.
  • ポスターの下のほうは見難いので,上の方に特に見て欲しい情報を配置した方がよいかも.「背景→方法→結果→考察→結論」の順序に縛られる必要はない.
  • よって,「このポスターの結論」を上の方に持ってきたほうがわかりやすい.
  • 載せるべきではあるけれど,どうしても見て欲しいというほどの意味を持たない情報は扱いが小さくても良い(サイトの情報など).フォントサイズも小さくてよいし,目立たないところに情報を配置してよい.気になった人が見てくれればよいのだ.
  • 見に来てくれた人との議論がしやすいので,完成された図やグラフだけでなく,解釈に困っている図とかも載せてよいかもしれない.

ポスターと一緒に貼っておくと良いもの
  • 名刺(メールアドレスなど連絡先が書いてあるもの)
  • 自分の原著論文などのコピー(論文内容が発表内容に近いと,なお良い)

参考

書籍
  • 藤沢晃治「分かりやすい表現」の技術―意図を正しく伝えるための16のルール
  • 藤沢晃治「分かりやすい説明」の技術 最強のプレゼンテーション15のルール

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